2018年08月08日

植田正治写真美術館

雪の中、大山の麓に鎮守さながらに佇む植田正治写真美術館(設計:高松伸)。「個人美術館に、これほど広大な空間を与えるのは贅沢すぎ!」と思いましたが、内部には清潔な天衣無縫がいっぱい詰まっていて納得しました。

外界との協調関係で成り立っている空間構成にも魅了されます。特に、3階の石庭に至るドアを開けた瞬間に目に飛び込んでくる情景は記憶に残るでしょう。それにしても、こうした施設が完成す

るまでには、さまざまな紆余曲折があったことでしょう。この仕事に関わられた全ての人々に感謝を捧げたいと思いました。

喫茶コーナーもお洒落ですね。館主・植田正治さんは、残念ながら故人となられましたが、優秀な学芸員に恵まれているようで、いつまでも素敵であり続けてくれるに違いない。

館内で最初に案内される「逆さ大山」を映し出す映像展示室に使われているレンズは、ベス単と同じ機構のレンズを発売していた事のある清原光学が製作したそうです。「ベス単写真帖・白い風」(1981)を発表した頃に植田さんと一緒に山陰を歩かれた方に教えていただきました。


NEWS! ご案内をいただきました (^_-)-☆

企画展:山陰にて
    植田正治の撮影小旅行
会 期:2018年6月9日(土)~9月2日(日)
    9:00〜17:00 
    火曜日は休館(祝日の場合は、翌日)
入館料:900円(一般)
会 場:植田正治写真美術館
    鳥取県西伯郡伯耆町須村353-3
    0859-39-8000

2回連続で "山陰にて" と題して開催する今回の展示では、山陰の風土、風景を中心に紹介します。観光地としても有名な「砂丘」をはじめ、「海辺」「湖畔」「山、農村」「島根半島」「松江」の六つのキーワードで、生涯かけて撮り続けた植田正治の「山陰」を紹介します。

植田が、戦前から活動をはじめ、雑誌などでの活躍や受賞を通じて名前が知られるようになっても、決して山陰を離れることがなかったのはなぜでしょう。そして、繰り返し、山陰の地を訪ね歩く小旅行を重ねたのはなぜでしょう。

1964年、植田は次のように語っています。「僕は、住んでいる山陰が好きだ。その美しい風景の底に、素朴な人間の表情の中にも、暗い生活のかげがあるような気がする。東北も北陸も、旅したことがないけれど、その風景の中にきっと、共通の感情を秘めているだろうと想像する。太平洋や瀬戸内、九州の明るい風物に接しても、僕には、写真的な興味がわかないというのは、土着山陰人としての僕の感情がついていけないということなのかもしれない。だから、僕は、この山陰の四季の風景のなかにひたって、あくまで山陰の風物を撮りつづけるしかないという宿命を自覚し、ひそかな誇りとしたいと思う」(植田正治『アサヒカメラ』1964年10月号より)

山陰の光や風、そして素朴な人々の暮らしや風情に対して、植田は独自の感性でアプローチし、生涯にわたり撮影小旅行へと導かれたのでしょう。鳥取砂丘の異空間、表情豊かな海、湖面の輝き、山や農村の変わらぬ佇まい、そして歴史を感じさせる島根半島や松江の風景など、写真家・植田正治を育んだともいえる「山陰」を植田の写真を通してあらためて浮き彫りにします。

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